甘露日記

古本屋甘露日記 http://www.kanroshobo.com

2003年11月

雨の予報

昨夜は結構雨が降っていた。

予報では月曜まで雨。天気には期待していなかった。
ところが朝起きて曇っているものの雨は降っていなかった。遅く起きてから仕事を一渡りしてしまったので遅くなったが、横浜美術館まで出かけることにした。

中平氏の写真展を見終わり、初期作と近作の間に横たわる大きな断絶にちょっと気を落としながら、子供たちが時間を潰している大型おもちゃ店に向かった。給料日とボーナス日に挟まれた日曜日。ショッピングモールには天気が悪いにもかかわらず人が溢れていた。
おもちゃ店に入るとものすごい人(^^;。まるで暖房でもかけているのか、と思えるくらい暑い。こりゃ子供たちは風邪をうつされたなぁ。女房・子供を探すとすぐに見つかった。空気が悪いから早く出ようよ、とワタシ。子供たちは未練たらたらで付いてきた。やっぱり子供はおもちゃが好きなんだねぇ。

お腹が減っていたのでそばにある食堂をいくつか見てみるものの満席の順番待ち。仕方なくランドマーク方面に戻ることにした。女房がグラタン・バーガーをここ数年食べていない、とつぶやいたのをきっかけに、Mで食べることにした。果たしてここも混んでいた(^^;。テイクアウトにしてもらい、ドックのふちにある場所で広げた。1階にあったカフェは潰れていた。

食べていると、そばでやっている大道芸が盛り上がっていた。おー、という歓声と、芸人の上げる景気のいい声。娘は食べるよりもそっちが気になる様子。食べ終わると息子が「ドックの下へ行こうよ。」と言う。ランドマークタワーの袂に滝が流れていて、息子のお気に入りの場所らしい。ドックの内側には一面クリスマスの電飾が施されていた。

気が付けば16時を回っていた。そろそろ日没時間。クルマのテール・ランプが少しまぶしく見え始めたと思ったら、そこかしこで電飾が光りだした。そろそろ年の瀬なんだなぁ。今年も暮れていく。あんまりいいことがない1年になってしまった。

遊園地を横になめながら国際大橋を渡り、汽車道を歩いた。湾越しにクリスマス電飾がキラキラと瞬いて、まるで今年もきれいに暮れていくような演出が施されていた。
でも、どんなに輝いてくれても、今年はさびしい1年になってしまったことは変わらない。

確かなものは何もない。何もないけれども、毎日を精一杯やっていくこと。今日出来ることは今日やる。毎日はその繰り返しだ。

中平卓馬写真展

横浜美術館で中平卓馬氏の写真展が始まったのは10月4日。

いままでずっと、行かなきゃ行かなきゃと思っていた。今日の天気予報は雨。写真展見学にはちょうどいい天気だと思った。昨夜は遅く寝たので遅い朝飯を食べたあと、のろのろと出かけることにした。東横線で桜木町まで。もうすぐ横浜-桜木町駅間は廃線となる。

そういえば横浜美術館に入るのは初めてだった。入場料1000円を払ってエスカレーターを昇った。常設展も見られるそうだ。
写真展は大きく3つに分けられて展示されていた。氏が病に倒れた後に撮影された写真群。マガジン・ワークとして残された作品群。そして、今回のメインといっても過言ではない初期作品、オリジナルネガからプリント群である。写真展の配列は最初に近作が並び、後に行くほど初期作品に遡っていくようになっていた。

順列通り、近作から見始める。縦位置で撮影されたカラー写真。歩きながら見ていくと一度も立ち止まることなく通り過ぎてしまった(^^;。新たなる凝視のセクションではプリントされたままという感じの八つ切りモノクロプリントが壁一面に敷き詰められていた。他の方は見入っていらしたが、残念ながらワタシは途中で見る気がしなくなった(^^;。
次のコーナーへ行こうとしたとき、会場の廊下で帽子をかぶった少し猫背の老人がワタシの目の前を通り過ぎた。肩からは長いズームレンズの付いたMFカメラが下がっていた。しばらくしてからあの方が”魚顔”の中平氏だったんだと気が付いた。

最後の「来たるべき言葉のために」のコーナーにさしかかった。うーむ。やはり初期作品はいい(^^)。こういう直裁な感想が出るのは、たぶんワタシが60年代生まれだということも関係しているとは思う。それでも、先日見た森山大道氏の回顧展を見、森山氏の著書の中に”親友”として登場した中平氏の作品をこうして見て、やはり彼ら二人に写真を撮らせたのは、ある種異常ともいえる60年代という時間だったんじゃないか、という気がしてきた。予備知識なしで両者の写真をランダムに並べられたとしたら、森山氏と中平氏の写真に区別を付けるのは難しいように思える。
何度も立ち止まり、じっと見つめる作品があった。心にざらついた感触が残った。雨の公衆電話ボックス。

あの時期、時代は二人の写真家に自身の姿を撮らせたのではないだろうか。

図録を1冊買って会場を出た。

保育参観

朝は8時起き。すでに雨が落ちてきていた。

女房も少し寝坊。娘に起こされた。あわてて朝食にトーストを食べて、幼稚園に行く仕度。今日は保育参観だ。

9時過ぎにM6とDVを持って出る。娘はワタシと出かける時は必ず手を繋ぎたがる。傘を差しながら幼稚園まで歩く。どうもこの幼稚園というのはワタシの幼少時を思い起こさせる所で、いつも道すがら自分が通っていた頃のことに想いが飛んでいく。こうしてワタシが自分の娘と手を繋いで一緒に歩いたように、ワタシも娘と同じ歳だったときには母親と手を繋いでこの道を歩いたはずだった。
年月はあれから30年経っていた。世代が一回りしたことになる。こんなことを考えるとき、時間とは不思議な概念だと思う。30年前の風景と今の風景は何も変わっていないようでいてきっと変わっている。だけどその変わった事が曖昧となってよくわからないのだ。よくできた間違い探しクイズに挑戦するような感覚。30年と聞くとぎょっとするような数字だけど、自分の中ではあまり実感できないのが正直なところ。現にワタシは30年前と同じ場所に住んでいる。たとえば新丸子駅が高架になって幼稚園に通っていた頃にはあった陸橋がなくなっていたりして、実際の風景は全然違っているにもかかわらず、感覚的にはあまり変わっていないような気がする。無論、ただの錯覚に過ぎないのだが・・・。
現在を分水嶺として後ろに連なっていく時間。前は真っ暗で何にも見えないからこそ、歩いてきた後ろが妙に気になる。

雨にもかかわらず、沢山のお父さんお母さんがすでにいらしてた。9時半から授業開始。先生のオルガンに合わせたお歌のあと、工作として小さなクリスマスツリーを作る作業。皆先生に教わりながら用意された材料を糊で貼り合わせる。ちゃんとツリーの形に仕上がる子もいれば、手が糊でベタベタになってうまくいかない子も居る。ウチの娘は仕事が早かったなぁ。こういう細かい仕事がもともと好きだからかな?
歌は振り付きで、バナナの歌。6番まである歌なので、同じようなメロディの繰り返し。一生懸命大きく身体を動かす子も居れば、全然動かさない子も、お母さんの所へ行ってしまう子も居たりして千差万別。まとめなきゃならない先生はタイヘンだな。

10:10で保育参観終了。ワタシはその足で神保町へ木曜日の荷物を取りに行く。なんだか道が混んでいた(^^;。店に戻ったのは13時過ぎ。

明古にも行かず

朝から曇。

朝飯を食べながら昨日録画してもらった「白い巨塔」を見る。野望家と言われる財前助教授。えらくなりたい。その一心で教授の椅子を目指す。えらい=教授という構図。10月からこのドラマを見始めたが、次第に慣れてくるにつれ、この「えらい=教授」という図式が本当にそうか?という気持ちになってきた。残念ながら現教授の東教授が全然えらそうに見えない(^^;。
手術の腕前が抜群の財前助教授がわざわざ教授という窮屈な地位を手に入れたい、ってどういうことだ?と思える。これだけ優秀で豪胆なら何処へ行っても通用するんじゃないだろうか。
むしろ地味な研究だけどもコツコツと続けたい里見助教授の方に教授という安定した地位が必要なのではないか。ストーリーと主人公たちの気持ちにちょっとミスマッチを感じた。
教授の椅子に座ることが名誉の頂点とする財前助教授の世界観は思いのほか狭い。

昨日オヤジと約束したとおり、今日は明古に行かなかった。本の入力作業と梱包・発送作業。確かにちょっとやそっとじゃ片付かないくらい店には本がある。市場に行くのはこれを売ってからでもいいかもな、という気持ちになった。
先日オークションにセール品として出品した本は順調に札を集めている。どうもありがとうございます。

午後になって仕入れが1件。前からウチにいらっしゃる方だ。先の戦争に従軍した方で、もうずいぶんお歳なんだけど、ちゃんと本は読まれている。今般の世界情勢についていろいろとお話してから店に戻る。

空が暗い。今月は晴れたのがたった5日しかなかったらしい。地軸がずれて南の空気が少し北に入りやすくなっているんじゃないか?と疑いたくなるくらい雨が多い。冷夏、熱秋、多雨。季節感がバラバラだ。

明日は娘の授業参観日。

市場へ

すごい一口が入荷している、と一新会メール通信。

これは行かなくては。と意気込んだが、オヤジからは渋い顔をされる(^^;。店に積み上がっている本を何とかしてからにしろ、ということらしい。ごもっとも。明日の明古を休みにすることを条件に市場へ出かける。

古書会館到着。確かにすごい量だ。質も高い。入札に来ている方もいっぱいだった。こりゃまともに行ったら高い買い物になるかもな・・・。量が出た時には見落としが必ず出る。それを狙うしかない。売れない値段で買っても仕方ないからねぇ。

荷物は質量とも一杯だし、入札に来ている人も大勢なのに雰囲気が沈んでいる。ワタシもなんとなくいたたまれなくなり、一通り入札したらすぐ店に戻る。仕事は山積みになっていた(^^;。

夕食は餃子。食後はオークションに出品する本の選別と写真撮り。スガシカオさんのラジオを聴きながら粛々と作業。

いい天気

今日はオヤジたちは休みを取っている。

店を開ける人が居ない。すでにワタシは店を開ける任ではない。店を開けている暇があったら荷造りをしなければならない。午前中一杯、忙しく荷造り作業。

12時から歯科医の予約が入っていた。前回から約1ヶ月。まさか1ヶ月後の天気が晴れ雨でオヤジたちの休みがひっくり返ることなど予想できないから、こんな時間に予約を入れてしまった。飯を食べずにとりあえず行くことにした。店はもちろん閉めたまま。

「よく磨けているんですけど、歯肉がちょっと腫れています。痛くはないですか?」と歯科衛生士のお姉さんに聞かれた。自覚ないですねぇ・・・。歳をとって歯の抜ける最大の原因は虫歯ではなく歯肉の病気らしい。歯ばっかり磨くことに気を取られていると歯茎が弱っていることを見過ごしてしまうのだろう。歯茎専用の歯ブラシを医院の窓口で買って帰る。

店に戻って昼飯を食べてから開店。ワタシは作業場で仕事の続き。女房に店番をしてもらいながら本のデータ入力をお願いする。

山のようになった発送荷物を出し終えて時計を見ると17時少し前。女房はこれから夕飯の支度に入る。ワタシが店番をしながら本の入力作業を続行。

オークションブースにセール品を並べた。
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